営業プロセスをまるごとバーチャル化

営業プロセスをバーチャル化するには、ざっくり言って、互いに行き来できる2つの舞台(バーチャル空間に創りだす「場」)が必要になると思います。

1つめは、リアルではマーケ部門が主導している企業様も多いでしょうが、集客から興味喚起、お客様に商品に関する情報を学習してもらう場です。 展示会やセミナーといった比較的大規模なイベントから、Webサイトや営業員による個別説明まで、営業活動の源となる“自社商品への興味”と“商品に関する知識の習得”のフェーズは、VRや3DCGを使用してライブ感や双方向感あるVR展示会スタイルへDXして、お客様の興味・印象を深めます。
VR展示会スタイルとは、リアルの展示会やセミナーを丸ごとバーチャル化するもので、リアルの良さはそのままにバーチャルならではを追加して構築する、言うなればリアル展示会のDigital Twinです。

VR展示会はこんなイメージ

展示会場及び商品展示・説明ブースはかなりの部分が3DCG、VRで構成されるため、来場者は自分のPCブラウザからVR展示会のURLにアクセスするだけで、展示場内を自由に歩き回る(3DCGウォークスルーする)ことができます。 
(※VRといえば専用のヘッドセット(VRゴーグル)を装着して体験するイメージかもしれませんが、VRゴーグルの普及の現状を鑑み、当社ではPCとブラウザで体験する想定で始めています。)
VR展示場内では、自由に歩き回れる来場者(ユーザー)の今居る位置に応じて近隣ブースからの呼び込み音や、動画自動再生による商品PRがブラウザに次々に表示されます。 
また、同じ「場」にアクセスしている他のユーザーの姿を簡易なアバターとして確認することができます。

営業側に目を転じると、展示ブースにログインした説明員は、ブースの近隣にいるユーザーに声かけしてチャットすることができ、話が盛り上がったらそのままVIP Roomへ案内し、そこでWeb会議をしたり個別の条件などについて打合せることが可能です。 つまりVRの中の人になった説明員がユーザーとチャットしてきっかけをつくり一気にWeb会議まで持ち込める訳で、リアルの展示会で行われている見込み客との出会い~商談開始とほぼ同様のプロセスが、人の移動コストなしに、場所による制約なしに可能となります。

この他にも、バーチャルヒューマン(当社が進める対話型のリアルアバター)をVR展示場および説明ブースに配置することで、平日夜間や休日といったオフタイム(説明員が不在の時間帯)の来場者へのアプローチも充実させることができます。 (※バーチャルヒューマンの営業的使用については別のコラムで記述します)

顧客との関係強化を Room で

2つめは、アフター展示会とも言えるフェーズ。すなわち興味をもったお客様に、そのまま自社商品を選択してもらえるよう細かな要求に対応しながら自社優位へ導く舞台であり、このフェーズのRoomは見込み客と営業がチームとなって使用するバーチャル空間上の専用プロジェクトルームとなります。
自分たちのRoomにログインすると、お互いの存在をアバターとして確認できる他、VRチャット、Web会議が、Room内からそのまま開始できます。更に、Room内で共有された情報や意思決定は、流行りのプロジェクト管理ツールのようなタスクボード形式(ブレスト会議で使用するポストイットが張り付けられたボードのようなイメージ)でRoom内に掲示され、メンバーによる編集、共有、記憶化が可能です。

例えば、大型機械や装置、設備の営業では、Roomから前述のVR説明ブースへ移動(シーン展開)して、製品の機能・大きさを3Dモデルを動かしながら詳細に説明することで見込み客の理解を高めることができますし、ユーザー(見込み客)はRoomからAR用マーカーをダウンロードして、自社の実際の工場で製品の大きさや可動範囲などを疑似体験して確認することができます。

このように商談醸成に特化した舞台を3DCGやXR(VRやAR、MRの総称)技術で構築にすることでVR展示会とシームレスにつながるだけでなく、いくつかのコミュニケーションTechを併用することで商談は全てココで行い、商談に関する情報や履歴を一つところにまとめることができるので、そのまま上司や同僚に情報を共有あるいは引き継ぐことができます。