バーチャルヒューマンの役割

「営業プロセスを丸ごとバーチャル化する(その1)」で記述した「Room」コンセプトでは、会員サイトなどで導入されている「マイページ機能」をVR化してチーム利用型にしたようなものであり、商品情報の学習~商談の履歴、担当営業からのレコメンドやユーザーからの問合せなど、商談固有の情報が視覚化され、共有され、記憶されます。
 人の移動、営業時間など、同時性(VRチャットやWeb会議単は相手が居ないと始まりませんが)に纏わるコストを抑えて、ユーザーのRoom滞在をより快適で意味のあるものにするために、音声とテロップで話かけるバーチャルヒューマンを配置します。バーチャルヒューマンは当社が進める対話型のリアルアバターですが、営業活動向けのRoom内では、以下のような役割で機能させることができます。

<営業アシスタントとして>
 営業活動向けRoomでは、ログインしたユーザー(見込み客)に対してバーチャルヒューマンが簡単なQ&A型応対やメッセージの取次をします。対話レベルは未だ限定的であり、事前に決めた会話制御シナリオの範囲にとどまりますが、ユーザーにそれなりのワクワク感をもって頂けると思いますし、アンケート取得などには効果的です。

<プレゼンコンテンツとして>
 また、営業が、手持ちのパワーポイント資料とトークシナリオを登録するとバーチャルヒューマンにプレゼンさせることができるCMSツールで、営業不在時にアクセスしてきた見込み客に対しても、最新のプレゼンを視聴してもらう(バーチャルヒューマンにプレゼンさせる)ことができます。

バーチャルヒューマンが気づかせてくれる未来

 バーチャルヒューマンによる用談は、2023年~2025年頃には自由会話が可能な程度にまで向上すると言われています。単なる商品説明にとどまらず、例えば商品をささえる技術的優位性といった高度な内容に関するプレゼンも、質疑応答を交えながら、誰かに似たバーチャルヒューマンが卒なくこなすことができるようになる。そんな時代が来ます。

 情報技術が発達し、リアルの双子をバーチャル上に創造できるようになった今(これから)、私たちはヒトの志向面もバーチャルに持ち込む必要性があると感じます。ここ数年、行動経済学(行動科学)が注目されています。行動科学によると、人間の脳は負荷を好まないそうで、これはヒトの脳が、認知に関して負荷が低いほどこのましいと感じる傾向を有する、ことに由来するそうです。
 
 そしてもうひとつ。流行りのナッジ(nudge:そっと後押しする)。ナッジとは「人々が自分自身にとってより良い選択を自発的に取れるように手助けする政策・手法」だそうで、人々が選択し、意思決定する際の環境をデザインし、それにより行動をもデザインすることだそうです。
 これらのエッセンスを当社ではRoomやバーチャルヒューマンに実装したいと考えていますし、新時代の営業の側面から考えると、バーチャルな商談舞台におけるナッジの実践は営業の重要な仕事の1つになると感じます。